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今回、林宗一郎氏が舞う楽曲を作曲いただいた、作曲家 谷口彩子氏をご紹介します。

谷口氏は、現在東京を中心に活躍されている作曲家です。クラシックから現代音楽まで幅広く作曲活動を行っており、今回は写真家 須藤和也とのご縁もあり出演を快諾いただきました。

あまり前例がない「能」と「ピアノ」のセッション。当日まであとわずかに迫りましたが、この日に向けて谷口氏からコメントをいただきました。そこには、音楽という感性に訴える世界に身を置く氏ならではの能への眼差しがありました。

ー セッションに向けて 谷口彩子

音楽においてとても大事な要素として、「間」や「余韻」があると思います。
音が鳴っている時よりも、その隙間の無音の状態によって音楽性が決まり、そしてそれは楽譜に書かれている事ではなく、演奏する人が生み出すものであって、生まれた瞬間に消えていく美しさです。

作曲家も演奏家も、この無音の状態に耳を傾け呼吸を合わせ、1つの音楽を作り上げていきます。私自身は能に詳しい訳ではありませんが、能楽に触れる度、この「間」や「余韻」の美しさに息を飲みます。
白足袋が床から離れる瞬間、そこには無限の空間が広がり、面に覆われた向こう側に、その役の人物と能楽師の表情が掛け合わさって、そこにしかない情念が生き始めるのでしょう。

日本人が感じる美しさはとても繊細で奥ゆかしいものです。日本の伝統である能と、西洋で古くから進化してきたクラシック音楽や楽器。どちらもきっちり決まった型があり、それらを遵守した上で自分なりの、その時代なりの物が生まれていくもの。

その2つを新しい形で融合させる時、繊細かつダイナミックでドロドロとした面白いものが生まれるのではないかと私は期待します。今回の曲を作るにあたり、宗一郎氏の舞の映像を観せて頂き、静かな動きの中にもとても強い流れを感じ、その興奮をそのまま音にしてみました。
テーマとして「葵上」と言われたので、あまりに強い愛が生霊となってしまう女性の悲しみを、西洋の楽器であるピアノで表現できていたらと思います。

〈作曲家 谷口彩子〉

http://ayakotaniguchi.jp/

3歳よりピアノ、6歳より作曲を習い始める。滋賀県立石山高等学校音楽科ピアノ専攻を経て、相愛大学音楽学部器楽学科創作演奏専攻卒業。現在、クラ シックの演奏家への作・編曲、WEB や映像作品、インスタレーション等の楽曲制作を中心に活動。作品では和声や対位法を基礎とするクラシカルな手法と、ミニマル的多重ピアノなどの機械 的要素を併せた、独自の世界観を作り出す。

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